「急いで走ろう」そう思いすぎて、


途中で何度も何度も転びそうになった。


こんなことしてる時間なんてないのに…


由美が…、危険な状態だというのに…




そして、ついに転んでしまった。


「瑠香、焦りすぎだ。」


誠が少し怒っていた。


「だって、由美が…」



誠に言いわけをする。



「由美ちゃんが今、危ないのは分かった。


けど、こんなときこそ怪我をしちゃいけない。


瑠香が病院に行く途中で急ぎすぎて怪我をした。


もし、そんなことがあったとしたら、由美ちゃんはどう思う?



『自分に責任がある』って感じちゃうかもしれないぞ。」


誠が真剣な目で私を見ている。


「瑠香はそれでいいのか?」


「嫌だ。」


由美に心配させたくない…


「なら、もう少しゆっくり歩こう。」


誠が手をかしてくれた。


誠のこんな優しいところが好きなんだ…


「ありがとう。」


お礼を言うのはあまり好きではない私。


「どういたしまして。」


誠が優しい笑顔で言った。