ただ一緒に

「良太、落ち着いて。」


お母さんが怒るように言った。


「ここからが本題。


瑠香も聞いてちょうだい。」


本題…


なんだろう…


「もうすぐ引っ越そうと思うの」


『引っ越す』…


ってことは、由美や里花や誠から離れなきゃいけないかも…


「俺は、賛成だな。


今すぐにでも引っ越したいくらいだ。」


お兄ちゃんは、すぐに賛成した。


決められないのは…私だけみたいだ。


「それっていつぐらいに引っ越すの?」


「準備が出来しだい、向こうへ行こうと思う。


〇〇県の〇〇市。


そこでね、私の知り合いが会社をやってて、


その会社で仕事をさせてもらえることになったの。


もちろん、あの人の知らない知り合いよ。」



「『〇〇市』って超都会じゃん!!


俺、めっちゃ行きたかったんだよねぇ~♪♪


いつまで?いつまで向こうにいられるの?」


「あいつに見つからなかったら、


一生そこで暮らそうと思う。


住むところは、だいたい目をつけてあるわ。」


「やったー!!


もー、一生なんて最高ー!!」


お兄ちゃんは、すっかり行く気になっている。


二人のこんな顔、始めて見た…