ただ一緒に

「そんな、お兄ちゃんは悪くないのに…


悪いのは私よ…


GPS発信器のこと気付かなかったんだもん…」


そうよ、私が悪いわ…


「ごめん…瑠香、違」


「とりあえず、その話は止めましょう。続き、いくね。」


お母さんの少し大きな声がリビングに響いた。


「でね、あの人、


私に『金出せ』って言ってきたの。」


「おい、お母さん!!


もしかして、お金渡してないだろな!?」


「それは大丈夫よ。


渡してないわ。」


お兄ちゃんのちょっと安心した顔が見える。


「ただ、


『今回は見逃してやるけど、次は容赦しないからな』


ってあの人、言ってたわ。」


「おいおい、それって


またここにお金貰いにくるってことかよ!!


ふざけんなよ!!」


いつも温和なお兄ちゃんが今日はすごく荒れてる。


でも、思うことは同じだ。私もそんなふうに思ってる。