「あー、アンタ隣のクラスの森屋ハナ。ごめん、今急いでてアドレスとかは後でにして。」
顔の前で両手を合わせる矢野君。
矢野明。一年の頃から先輩や同級生、他校生まで、ありとあらゆる女の子に手を出してきた男。軽くて、女の扱いに慣れているらしい。そのため、結構人気が高いってあさみに聞いたことがある。コイツに引っかかる女は馬鹿だと思っていたけど、まさか自分の1番身近なところにいるなんて信じたくもない。
「そういうことじゃなくて!」
「何?この間の保健室の話?」
まさか起きていたことバレてる?
「萌のこと。」
「萌?あーあ、河西さんね。」
「萌は矢野君のこと本当に好きだよ。」
「なんで分かるわけ?!本人でもないのに。」
「女の子は好きでもない人と触れ合えないよ。」
「そうかな?俺は違うと思うけど。」
「それじゃあ、矢野君の女の子を見る目が無いんじゃない。」
「森屋さんって案外ハッキリ言うんだね。」
「萌のこと本当に好きじゃないなら、」
「別れろとは言わない。」
今まで横で黙っていた青山君から衝撃的な言葉が聞こえる。
「ちょっと青山君!」
「別れる、別れないは本人たちの問題だよ。」
「それにしても。」
「ハナが強制させてどうなるの?河西とハナの仲が悪くなったら?」
「女の友情は男で変わるんだよ。」
「お前は黙ってろ。」
冷やかす矢野君に低い声で言う青山君。


