「あ、どうも。」
声のする方には、青山君が立っていた。
「どうも。」
「さっきはありがとう。私の案に賛成してくれて。」
「あー、結局お蔵入りにしちゃったけどね。」
「まあね。」
「それ中世期の本?」
彼は私の腕の中にある本を指差して聞いてくる。
「そう、衣装作りの参考になればいいなって。」
「へぇー。」
「カッコイイ衣装作るから王子役頑張ってよね!」
そう彼は昼休みに行われたくじ引きで、王子役に選ばれてしまった。
「でも今日来たばかりの俺が大役やっていいのかなって・・・・・。」
「ん?」
「あ、何でもない。期待してますよ、衣装さん。」
「任せてください、王子様。」
季節は梅雨。窓の外のどんよりした天気とは反対に、私たちの間に流れる空気は明るく晴れやかだった。


