「あまり男と2人でいるな!」

「なんでよ!お兄ちゃんはよく浅野先生と一緒にいるじゃない!」

浅野先生は、綺麗で優しく生徒からも人気が高い先生だ。

「バカッ!浅野先生とは同い年だから、話しやすいんだよ!」

生徒はみんな、お兄ちゃんと浅野先生が付き合ってると思っている。当然だ、いつも一緒にいるもの。

「ま、いいんじゃない?浅野先生ならお姉さんって呼べるもの。」

「…話をすり替えるな。」

急にお兄ちゃんが怖い顔をした。
私のことは人一倍心配するのに、自分のことは二の次。特に恋愛の話は避けたがる。

「そ、そんな怖い顔しても意味ないから。」

学校から2つ目の駅で降りた私たちは、また歩幅を揃えながら歩き出す。10分ほど歩いたとこにあるマンション、ここが私たちの家だ。「藤原」と書かれたポストを確認し、中へ入った。