助けてくれることを期待しないわけじゃない。でもこの動きたくても動けない状況の中で、どう助けてくれるというのだろうか。
今は痴漢の冤罪もあるから、簡単に捕まえることもできないんじゃないかな。
悪い方向にだけ頭が回る。
『発車いたします』長かった緊急停止信号が解かれた。
発車したときの揺れで車内の人たちはあたふたしながら必死で自分の場所を確保する。携帯の彼はその揺れを利用して、私と後ろの人の間に入ってくれた。そして一瞬後ろを向いて相手の耳元で囁いた。
「今日のとこは黙っててやるよ。」
彼のおかげで安心して電車に乗れた。電車が駅に着く頃にはお昼を迎えていた。私が降りた後彼も降りてきた。
「あの・・ありがとうございました。」
「逃がしてごめんね、君があまりに辛そうだったから大事にしない方が良いと思って。」
「いいの、本当にありがとう。」
「その制服って凌山高校?」
「はい、そうですけど・・。」
「送っていくよ、俺もそっちの方に用あるから。」
「でも・・・。」
結局彼は高校まで送ってくれた。
「ハナ!!!!」
校門のとこには青ざめた表情のお兄ちゃんが立っていた。


