「本当に勘弁してよね。」

帰り道、愚痴をこぼしながら歩く2つの影。

「男と2人でいたら、何されるか分からないんだぞ!」

「何もされないわよ!」

「現にさっきだっていい感じだったじゃないか。」

「あれは、あさみ宛の手紙を渡されただけだよ。」



呆れた、いつもこうだ。
幼なじみの6つ上のお兄ちゃんは、極度の心配性である。今は事情があって、お兄ちゃんの家で面倒を見てもらっているけど、決まり事が多すぎるのだ。

お兄ちゃんなんかじゃない、父親に近い。
17歳の私としては最近鬱陶しく思うときも、ちらほら。
家でも学校でも、常に近くにお兄ちゃんがいるんだもん。なんせ、彼はうちの学校の英語教師ですから。