「一体何に気をとられていたんだ?俺の授業はそんなにつまらないか?」
職員室のソファーで先生に問い詰められている。
「そんなに一気に聞かなくても。森屋さん、どうぞ。」
浅野先生がくれた紅茶を一口飲み、今野先生に言う。
「数学嫌いです、正直。でも先生の授業はつまらなくないです。」
「じゃあ何に、」
「それは言えないです、ごめんなさい。」
「こんなこと珍しくないか?」
「私もそう思います。」
「お騒がせしました。」
風になびいたままの前髪で急いだことが分かる。
「藤原先生。」
「最近夜眠れてないみたいで、後は僕の方で言い聞かせますので。」
「・・・。」
「本当にすいませんでした。」
お兄ちゃんと一緒に謝る。
「もういいさ、森屋も色々あるんでしょう。今度から気をつけるように。」
「はい、失礼します。」
下駄箱で靴を履き替えているとき、浅野先生が来てアロマオイルをくれた。不眠に効果があるらしい。


