壁に押し付けられた彼女は、女たちをまっすぐ見据えている。


「あんた、男にばっかイイ顔すんじゃねーよ」

「そんな可愛くもないくせに!!」

女たちは成瀬に詰め寄る。

ヤバい、助けねーと…

俺は耐えられなくなって飛び出そうとした。







「黙れ…」




静かに芯のある声で成瀬が女たちに言った。

ー!飛び出そうとした俺は、驚きで目を見開く。

今まで聞いたことのない成瀬の声に身体がビクッとはねる。

えっ、何この状況。俺が助けるのが普通じゃねーの!?ドラマのワンシーンみたいに…




「お前ら何が言いたいんだよ…あたしには人と話す権利もないわけ?あたしがこの顔でこの身体で存在してるのはあたしのせいとでも言いたいの?」

成瀬は恐ろしいほどの殺気をまとっている。

「ったく大人しくしてたのに…」

ふっ…と笑う成瀬の目が恐ろしい。





「ーうるさい!!」

女たちが逆上する。

「あー、もう…心配しなくてもあんたらの邪魔するつもりなんてなかったのに。醜いよー、あんたたち。」

暗い瞳で静かに女たちに告げる成瀬。

女たちは悔しそうな顔で固まっている。



俺は無意識に成瀬のもとへ向かっていた…