あーあ、迂闊にこの髪で外に出られなくなったや。ただでさえ珍しいのに。
「猫ちゃんには世話になったなぁ…ほんまにサンキュ。次に会ったときに、借りはちゃあんと返すな」
「…期待して待ってます」
「そのついでに、もう一つ借りてくれへん?」
「?」
"?"を浮かべながら朱雀の顔を見るとさっきより顔色が悪くなっているのに気がついた。
「朱雀……?」
「あははは…不甲斐ないんやけど、さっきから目眩すんねん。せめてでえぇねんけど、猫ちゃん階段降りるときに肩貸してくれへん?」
………え。
「さっきまで平気な顔してたじゃん」
「いやぁ〜……立った瞬間ふらぁっと」
へらっ、と笑うけどその笑みには力がないように見えた。
「……やせ我慢は体に良くないよ」
「それがワシのチャームポイントやからな」
「…………」
もう何とでも言っとけ。
「……階段降りるまでだからね」
「お。ありがと、猫ちゃん」
朱雀の右手をとって自分の肩に回して立つ。
やっぱり男の人なだけあって体重をかけられると重い。
転ばないように来た道をゆっくりと歩いて行く。
片側しか階段ないって、ここの設計可笑しいんじゃないか、と心の中で文句を言う。
「なぁ、猫ちゃん」
「何?」
朱雀はラクだろうけど、私にとってはさっきの喧嘩よりも体力使っていると思う。
こっちのが疲れるんだからあまり話かけないで欲しい。


