「大路…てめぇはあとだ。先にこのマント野郎が痛い目にあいたいらしい」
ナイフの向きが私に向く。
「ちょ、ちょい待ち鬼塚!!この子はワシらに何の関係もあら…いっ…痛いっ痛いっ!」
「朱雀は少し黙ってて」
続きを言わせないように傷のあった横腹を軽く殴る。
「でも、猫ちゃん……」
「朱雀は怪我してるんだから。無理しちゃ駄目だよ」
からかうように言うと言葉に詰まったように口を閉ざしてしまう。
きっと自分でも体が動かしにくいのが分かっているんだろう。
「ほら、そこ座って。大人しくしてて」
「おぉおい……」
無理矢理に近いけれど体を反転させて座らせる。
それでも心配そうな顔をしている朱雀を見ると、かな兄たちを思い出してつい笑ってしまった。
「猫ちゃん?」
「大丈夫だよ。私は……負けないから」
「?」
キョトンとした朱雀の顔を見てまた笑いそうになったが何とかこらえた。
「そろそろ、話は終わったかぁ?」
「…えぇ」
振り返るとニヤニヤ笑っている鬼塚が私を見ていて、まともに目があった。


