そんな博打を打つより、敵を倒してから聞く方が手っ取り早いし。
「くっくっく………せっかくの作戦もお前のせいでぱあだよ、大路。だからせめて……」
不気味に笑いながらナイフの切っ先を朱雀の方に向ける。
「お前を消すぐらいは、いいよなぁ」
この人、思考回路大丈夫?
これが私の鬼塚に対する第一印象。
「鬼塚……ワシに勝てると思ってんのか?」
「勝てるさ。今のお前にならな」
「ほなら、試してみるか……?」
ゆらりと朱雀は普通に立ったように見えるが、動作に重い印象を受ける。
思っている以上に朱雀の体はぼろぼろだろう。
普段なら、口出しないんだけど、
「おら、マント野郎。お前も怪我したくなかったら退けよ」
「いや」
「……あ゙?」
「聞こえなかったの?いやだって言ったの」
鬼塚のナイフを持つ手がぴくりと動き、眉間には皺が寄っている。
「……もういっぺん言ってみろ。これが最後だ」
「だからいやだって言ったの。あなたこそ何回言わせるの?そんなに耳遠いの?」
少し煽るような口調で話すと鬼塚の眉間にはますます皺が寄った。
ついでにこめかみのところの血管がぴくぴくしている。
短気にもほどがあるだろう。
「ちょ、猫ちゃん何言うてんの!?」
後ろから朱雀の焦ったような声がする。


