壁を越えたときは、眩しさで目の前が一瞬真っ白になったが、今は見ているものが予想外過ぎて頭が真っ白になった。
おかげで一瞬、ほんとに何も考えられなかったよ。
そしてこの状況を楽しんでいた私の気持ちもどこかに行ってしまったよ。
「……あれが、朱雀の仲間?」
「そうやで。みんな格好えぇやろ?」
「……うん」
まぁ確かに格好いいけどね。
下の方を覗くと、ひときわ輝く金髪が目に入った。
朱雀にばれないようにため息をこぼす。
「……朱雀って、双翼のメンバーだったんだね」
「あれ、ワシ言わんかったか?」
「言ってない。だからこんなにびっくりしてるんだよ」
すまんすまん、と朱雀は笑う。
ここで思ったのが、笑うならもう少し声のボリューム落として欲しい、だった。
他の人に見つかったらどうするつもりなんだろう。
私がそんな心配をしているのがあほらしくなるぐらい朱雀はのんびりしている。
「あっはは。敵さん可哀想になぁ。ワシみたいな人質までとったんにアイツらにボコボコにされてしもーて」
「人質なんかとったから、今ボコボコにされてるんだと思うけど……」
「違いないわ〜」
本当にのんびりしてるなぁ、と思い、下の戦いに意識を戻す。
しっかり見るとさすが全国No.1なだけあって個人個人がそれなりに強い。
とくに幹部の戦いは綺麗に見えるぐらい。


