じゃあな、と言ってかな兄は電話を切った。
内心面倒だと思いながらもとりあえずベットから下りる。
現在約7時40分。
ここから学校までは約30分。
急いで支度しても10分はかかるな。
8時10分までには入っていないといけないのでかな兄の言う通り完璧遅刻。
それならば急ぎすぎる必要はない。
「とりあえず着替えよ…」
制服を着て、ウィッグを被ってから鏡を見て地の髪が出ていないか確認する。
私の髪は銀色をしている。
瞳は灰色に近い色。
髪が銀色なせいか、瞳も光の反射やなんかで銀色に見えるらしい。
髪も瞳の色も嫌いではない。
が、いろいろと面倒なので普段は隠している。
最後に黒のカラコンをして終わりだ。
自分で言うのも何だが別人に見える。
それからコーヒーを1杯だけ飲んで鞄の中に財布を入れ、ポケットにケータイを入れる。
「……行って来ます」
ローファーを履いてそう言った。
返事を返してくれる人がいないことは知っていたが、なんとなく……
今日だけ、言ってみたくなった。