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「はい」
カチャ、とテーブルの上に注文もしていないのにコーヒーが置かれる。
「注文、してないですよ」
「オレの奢り。で?満月ちゃんは?」
「もう行きました」
ため息をついてから音は置かれたコーヒーに手を伸ばす。
「そっか……」
向かい側にマナさんが座る。
さっきまで満月の座っていたところだ。
「いつまで、続けるつもりなんだろうな……」
ピクリとカップを持っていた手が微かに反応した。
「音…お前や奏だって、大切な妹をこのままにしておくなんて良くないってことぐらい分かるだろう?」
マナさんは真剣な眼差しで音を見つめる。
「……そうですね。分かってますよ」
「だったら、」
音はその続けられる言葉を遮るように首をふる。
「何故……」
音はそれには答えずただ静かに笑っているだけだった。
「何度も、言いましたよ。でも……」
「俺たちの言葉を聞くような妹じゃねぇよな」


