「その予想を確かめるに、そこに何人か仲間を入れているところもある」
奏がこちらも見ずに腕組みしながら淡々と言う。
「一般人に被害が出たからな。一部の族では鬼火を潰す話が出てるところもあるぜ」
「へぇ……」
そうなるとわざわざ私が潰すまでもない、か。
「ま、あくまで噂だけどな。それに、相手は全国No.6だっつっても、実力的には全国No.3、4とあまり変わらねぇし。誰かが潰してくれるのを待ってるとこがほとんどなんじゃねぇか?」
「言えてる。かえって自分たちが潰されたら笑えないもんね」
「ミイラ取りがミイラになる、ってか。最近の若者は根性ねぇなぁ」
「…………」
目の前で繰り広げられている会話が、物凄く物騒に聞こえるのは私だけなのかな。
うん。気のせいだよね。いたって普通に会話してるもんね、2人共。
私は残っているオレンジを飲み干した。
二人の視線が私に向いているのが分かる。
「……なら、私が行くしかないよね」


