なんだろう。どことなく歯切れが悪い気がする。
「じゃあ満月ちゃん、"双翼"は知ってる?」
「暴走族の?」
「そう。満月ちゃんは"双翼"についてどのくらい知ってる?」
どうして今"双翼"が出て来るのか、いまいち分からない。
まぁそのぐらいなら教えていいか。
「えっと……私が知ってるのは全国No.1を誇ってるの暴走族で、結成は7、8年ぐらい前だってことくらい」
「へぇ。僕が思っていたよりもちゃんと知ってるんだね」
ニコッ、と涼が笑う。
……馬鹿にされたわけじゃないよね?
「この辺りの人ならこのくらい知っていてもおかしくないと思うけど」
「そうだね。でも満月ちゃんは知らなかった」
「え?」
「僕たちのことは、知らなかった」
「どういう…」
どういう意味か、そう聞こうとして今までのことを思い出す。
「…………」
まさか……いや、うん。絶対にそうだ。
というか何でその可能性に気づかなかったのか、いっそ自分が不思議だ。
朝も音兄から聞いていたのに……この学校のこと。
ここまで来れば、嫌でも予想がつく。


