私と朱雀が話していたときは無言を貫いてくれていたけど、内心は気が気じゃなかったんだろう。
かな兄の精神力が保ってくれてよかった。
「大丈夫だよ、朱雀は」
多分、今の話を朱雀は誰にも話さない。これは私の中にある根拠のない自信ではあるけど。
でも、もし今の話を太陽や他のみんなに言ってしまったら私が白猫だって言っているようなものだから。
何も知らないと、喧嘩や血なんて全く関与していないと思っていた私が、あんなことをした、なんて。
優しい朱雀はその事実をみんなには伝えないはず。
……私は、朱雀のその優しさを利用して、酷なことをしているのかもしれない。
ううん、かもじゃなくて、きっとしてる。
ごめんね、朱雀。
でも、まだ……まだ、バレるわけにはいかないんだ。
みんなを巻き込まないためにも。
「それじゃ、満月の話を聞こうか」
音兄に言われ、私がここにきた本来の目的を思い出す。
「あ、うん。たいしたことないんだけど一応報告。今夜、サチに会ってくるね」
「サチ?」
「誰だそれ」


