「……ねぇ」



そう言っただけだが、男達は警戒の色を濃くした。


私はそんな彼らを見据え、ゆっくりと笑う。



「……月が綺麗だと思わない?」


「「「……は?」」」



見事に目がまん丸。


けれど、この台詞を聞いたやつらの数人は顔を青く変えた。



「おおお、お前!!
今の台詞……もしかして…!!」



気づくの遅いでしょ?



「ししし…"白猫"っっっ!!」



その一言で私以外の全員に恐怖が広がる。



「まさかっ!」


「女って噂本当だったのか!」


「嘘だろ!?」



男達の間で口々に言われる"白猫"の噂。


もう隠しても意味がないのでマントを脱ぐ。


真っ白な服と月光を集めたような長い銀の髪。


そして、髪と同じ銀色に光る瞳。


暗い空間に浮かぶそれはまるで月のようだった。



「…………!!」



男達の間に声にならない悲鳴があがる。


そして、もう一度微笑んで"白猫"は言った。



「月の出る晩に報復を……」