私の言葉にハッとしたように朱雀は顔を上げる。
その顔はなぜか苦しそうで、私は泣きそうになってしまった。
「それはね、私がしなきゃならないことだったから」
「満月が……?」
「そう」
コト、と静かにカップを置く。
「今回のことは、私が原因で起こったようなものだったしね。私が去ったあと、倉庫の中は見た?」
少し間があいて朱雀が頷く。
見たんだ……見ない方がいいよって忠告したのにな。
「死んでいた2人が今回の犯人」
「2人、だけか?」
「えぇ」
あれだけのことをしておいて、その犯人がたったの2人だけという事実に、朱雀は驚いているようだった。
でも、あれぐらいなら私1人でもできていたと思う。
というか、プロの暗殺者にとってちょっと喧嘩が強いだけの一般人を殺すことなんて、赤子の手を捻るようなものだ。
プロは、気配の消し方に関しても、体術に関しても、刃物の扱いに関しても、一般人のそれには遠く及ばない。
ましてBCMならなおさらだ。


