カバンを持って出れば、久しぶりの見覚えのある車が。



「おはよう」


「あぁ」



乗り込めば静かに動き出して、学校に向かった。



「体調は?」


「え?あ、うん。もう平気だよ」



ニッコリと笑ってみせるけど、太陽は納得いっていないかのように眉をひそめた。


かな兄も音兄も過保護だと思うけど、太陽も負けず劣らず、だよね。



「満月、何かあったか?」


「、え?」



ドキッと心臓が嫌な感じに跳ねた。



「な、んで…?」



どうして、そんなこと聞くの……?


口を閉ざした私に、太陽がその手を伸ばす。


頬に触れた温もりに、ビクッと体が少し揺れた。


どうしても太陽の目を見ることができなくて、そっと視線を外す。



それは拒絶。


何も触れないでほしいという、私の精一杯の意志の現れ。



「……悪い。言いたくないことなら、いい」


「……ごめんなさい」



気にするな、と太陽はそっと私の頭を撫でた。


その温もりに、私は少しだけ切なくなった。