何度涙を流して、声を枯らして、あの日に戻りたいと空に祈ったんだろう。


一生消えることはない、僕と奏の後悔。



「本当に……どうして、満月なんだろうね」



どうして、僕たちじゃないんだろう。



あれほどの絶望をあの年で味わい、たくさんの人たちの死に関わって。


負の感情の中で生きるのは、どれだけ辛いことだったんだろうか。


僕たちには、想像もできない。



「過去は変えられないし、後悔は一生続く」


「……そんなこと、分かってる」



そうだね。分かってる。


そんなこと、僕たちが一番よく分かっている。


だって誰よりも、そうなってほしいと願い、願いは届かないと実感しているから。



「今度こそ、ちゃんと僕たちが満月を守ろう」


「……あぁ」



大切なこの子を、僕たちの妹を。


今度は、満月だけが重みを背負わないように。


その手を、離さずにいっしょにいよう。



満月の頬に伝った奏の涙をそっと拭う。


まるで満月が泣いているよう。でも、この子は僕たちの前で泣かない。


苦しんでいるところや悲しんでいるところを絶対に僕たちには見せない。


でもね、もっと僕たちに頼ってよ。


もっと寄りかかってほしいんだよ。


満月が僕たちに心配させないようにしているのは分かる。


でも………



僕は満月の頬を、そっと指で撫でた。