ザアァ、と頭から熱いシャワーを浴びる。


熱いはずなのに、私の心は氷のように冷たくて。


俯いたまま流れる水を見ていると、白いタイルに流れる真っ赤な水。


ぼー、と私はそれを見つめる。



あぁ、そっか。


私は…、彼を……



「………っ、」



当たり前だったのに。何度も経験してきたことなのに。


昔してきたことと比べれば今回のことなんて、なんでもないことのはずなのに。



ゾッとした。


この手が、まだ血で汚れているんじゃないかと思ってハッとする。



ばかだな、私……


私の手なんて、もう汚れきってるのに。


今さら、そんなことを思うなんて……


思わず自嘲の笑みが浮かぶ。



心から、伝導するように体が、指先まで冷えていく気がする。



震える。


指が、体が、心が……