「あら……来たの」
以前とは違う、感情のこもらない声。
冷たいわけでも、怒りや負の感情がこもっているわけでもない。
その声に、瞳に、表情に浮かんでいるのは"無"だった。
「暴走族が潰されていた事件なら、もう終わったわ」
「……お前がやっていたわけではないんだな?」
「私がして、なんのメリットが?」
どこまでも淡々と紡がれていく声。
それが、本当なのか嘘なのかさえ判断できない。
「とにかく、この件は終わったの。あなたたちは手を引きなさい」
コツコツと足音を鳴らして、普通に横を通り過ぎて行こうとする白猫。
俺はその手を、気づけば取っていた。
その瞬間、
「太陽っ!!」
「っ、」
仲間の声と、空気を切り裂くような鋭い音が耳に届く。
それと首筋に当てられた冷たいモノ。
「死にたいの?」
色素の薄い灰色の、いや、刃物のように鋭い銀の視線が、真っ直ぐ俺を貫いている。
その視線に負けないように、手を掴む力を強くする。
そして、首に鈍い痛みが走った。
ツゥ、と何かが流れる感じがしたが、俺は気にならなかった。


