「なんだよ、この嫌な感じ……」
声が震えているのは気のせいじゃないだろう。
理解し難い、何か不気味なものが這い上がってくるようなこの感覚。
頭が狂いそうだ……
どれだけの時間そこに立っていたのかは分からないが、ガガッと扉の開く音にハッとした。
後ろから、小さく息を呑む音が聞こえる。
目を向けると、莉都や蒼介の顔が真っ青になっていた。
コツコツと、微かな靴の音が辺りに響く。
暗いので相手は分からないが、恐らくこいつが族を潰して回っていたやつだろう。
自然と体に力が入る。
コツン……
相手は俺たちから3メートルほど離れた場所で止まった。
それと同時に雲が切れて、明るい月が顔を出す。
「お、前……」
「……、」
「う、わっ」
「ひぇ」
「猫、ちゃん……?」
「…………」
そこに立っていたのは、血にまみれ、にも関わらず神秘的なまでに輝いている白猫だった。
よく見ると、返り血がほとんどだが、頬や脇腹に傷がある。
その手には血の滴る刃物が。
初めて見たその生々しさにゾクリとした。


