「あー、やっぱcatは強いっスね……ははっ、完敗っス」
ぼんやりと一点を見つめていたclownは私に目を向ける。
その瞳は凪いだ海のように静かだった。
「これじゃ任務は失敗……オレ、もうすぐ死ぬんスね」
「…………」
何も、言葉が出てこない。
そんなことない、なんて言えない。
だってそれは事実だから。
失敗した者は、消される。
それがあの世界のルール。
分かりきっていたことなのに、胸がこんなに痛むのは何故……?
「なぁ、cat……最後に、敗者に情けをかけてくれないっスか」
いつものように、ゆるりと上がった口元。
でもその表情はどこかあたたかな、柔らかな雰囲気を醸し出している。
「おんなじ、行き着くところが"死"なら、オレはアンタに殺されたい」
ギシリ、と心が軋む音がする。
「もう、オレは疲れたっス……」
小さな窓からのぞく月を見て、clownは呟いた。
「殺して下さいよ、オレを」
その顔は、私が見たことのある中で一番穏やかで。
「頼むよ……」
その瞳は泣きそうで潤んでいるように見えた。
震える指を力を入れて、私は高く剣を振りかざす。
悲しくなるぐらいの微笑みを浮かべるclownに、私は顔を歪めて。
その右手を振りおろした。


