私は今、緋連雀の倉庫の側にいる。


ここにいてしばらく経ってるけど、倉庫に変化はない。



今日はハズレかな……


でももう少しだけ、と思ったときに背筋が震えた。


この、刺すような鋭さと、まとわりつくような不快な感じ……


久しぶりの感覚に懐かしさと嫌悪感が込み上げてくる。


飛び出したい気持ちを押さえて、私はその場所にとどまった。


立て続けに聞こえる微かな物音。


少しすると倉庫の中に静寂が訪れた。



そろそろ、かな。


私は気配を消して倉庫に近づく。



気を引き締めなきゃ……相手はBCM、本物の暗殺者。


少しの油断が、隙が、気持ちの揺らぎが命取りになる。


私は深呼吸をして倉庫の扉を開けた。





予想通り、といえばそうなのかもしれない。


目の前に広がるのは人の山。


でも動いてるところをみると気絶しているだけだと思う。


音兄の情報にも族自体は潰されたけど、死者はゼロって聞いてたし。


注意深く周りを見渡すけど、特におかしなところはない。



気配も、特には……


そう思って思わず苦笑する。相手はプロ、気配を消すぐらいは容易いか。