「行くぞclown。もうここには用がない」


「はいはい。あいも変わらずjokerはせっかちっスね〜」



先に行く相棒の背中を見ながらclownと呼ばれた男は苦笑した。



「そんじゃ、あんたもこのこと忘れて眠って下さい」



トン、と首に触れると、倒れていた男はあっさりと意識を失った。


それを見るclownの顔は無表情ながらもどこか苦しげで、悲しそうにさえ見えた。






「joker、歩くの速いっス!」


「お前が遅い」


「酷くないっスか!?」



しくしくと泣き真似をするclownをjokerは無視。


だがこのやり取りは二人の間では日常茶飯事のことだった。



「時間をとるぐらいなら、殺してしまえばいいものを」



その言葉には何の感情も表れていない。


例えるなら無機質でどこまでも温度を感じられないような声。



「ダメっスよ〜。最初に決めたじゃないっスか。今回は殺しはゼロっスよ」


「分かっている。今回の仕事は、」


「"silver cat"の捜索、確保、なんスからね」










ほのかに月明かりに照らされた二人の体には、赤い三日月に囲まれるようにNo.7とNo.9の数字が浮かび上がっていた。