空気が、一瞬にして凍ったように感じた。
そう錯覚してしまうぐらいに二人の出す殺気は怖くて、冷たくて、凄まじい。
太陽の顔が強ばる。莉都や蒼介は真っ青だ。
「君がこの子の過去を知ろうが知るまいが君には何もできない」
はっ、と冷たく鼻で笑う音兄。
「興味本位で探って満月を傷つけてみろ。潰すぞクソガキ」
無表情ながらも威圧的に言うかな兄。
そんな二人にみんな言葉を発することを忘れたかのように固まっていた。
「奏、音。お前らもうやめろ」
「オレたちには大丈夫でも、彼らにその殺気は辛いよ」
大ちゃんとマナさんが注意するけど、二人は動こうとしない。
その瞳は、変わらず太陽を鋭く見つめたまま。
もう……私が絡むと周りの声なんておざなりになるんだから。
二人ともシスコンか。いや、シスコンか。
仕方ない……
「かな兄、音兄、もうやめて」
二人の視線が私に向いた。
「……お願い」
真っ直ぐその瞳を見れば、二人の表情が柔らかなものに変わる。
冷たく張りつめていた空気も、一気に緩んだ。
「満月のお願いじゃ、仕方ないね」
クスリと優しく笑って音兄は私の頭を撫でる。
「あっ、音ズリィ!!満月、俺んとこおいでー」
「犬かよっ」
べしっと大ちゃんがかな兄の頭を叩く。
めっちゃいい音した。
「いや、満月ちゃんはどっちかと言えば猫じゃ……」
「え。マナさんそこ突っ込みますか」
うわ、マナさんのボケたところとか珍しい、というか初めて見た。
そんな姿もかっこいい、と思っていると視線を感じた。


