「ただいまー」



うわ、なんか懐かしい。というよりも落ち着く。


太陽のところでお世話になってたときは、私が白猫だってバレないように気を使ってたからなぁ。


やっぱり自分の家が落ち着く。


改めてそんなことを実感しながらとりあえずウィッグとカラコンを外して荷物を片付ける。



あ、そうだ。かな兄たちに連絡しないと。いや、ここは音兄に電話をするべきか。


かな兄だと絶対に面倒なことになる。これはもう間違いなく。


ケータイで音兄の番号にかける。



『はい』


「あ、音兄?満月だよ」


『うん、分かってるよ。久しぶりだね』



あー、そう言われてみればそうかも。


太陽のところではあまり電話もしてなかったし。



『もしかして今家?』


「うん。帰ってきたから一応知らせておこうと思って」



そっか、という音兄の後ろから、なんだか奇声に近いようなものが聞こえた気が。


あと何かの衝撃音も。



「音に、」


『みっつきいぃ〜〜〜っ!!』



うわっ……


慌ててケータイを耳から離す。


あっぶな……今離さなかったら絶対に耳やられてた。



『もう帰ってきたのかっ!?』


「あー、うん。家にい」


『今から見舞いに行くから待ってろ!!』