「太陽、いい?」


「あぁ」


「じゃあ、行ってくるね」



みんなに見送られて、私は太陽のお父さんがいるリビングに向かった。



「太陽もお父さんのこと苦手なの?」


「さぁ……確かに怖いけどな」


「へぇ」



太陽でも怖いのか。


どんな人なんだろう。そこまで言われると逆に興味湧くかも。


怖い人のイメージっていうと、なんかこう……ヤクザ、みたいな?


オールバックでサングラスかけてて、葉巻吸ってて、肌は浅黒くて高級そうなぴかっぴかのスーツ着てそうな感じ?


もちろん顔とかに傷跡があったりして……



「いや、ないな」



太陽のお父さんに限ってそんなことはないでしょ。


春花さんもイケメンだって言ってたし。



「満月、何言ってるんだ?」


「あ、なんでもないよ」


「そうか」



ふっと笑った太陽に、私も笑顔を見せる。


着いたぞ、と言われて気合いを入れ直し、私はリビングに入った。


扉を開けると春花さんがいた。


顔は見えないけど、春花さんと話しているあの人が太陽のお父さんかな。



「あら、満月ちゃん」



私と太陽に気づいた春花さんが、ニッコリと笑顔でこちらを向いた。



「すみません。太陽からお父さんが戻ったって聞いて、挨拶をしに来たんですけど……」


「あら、そうなの?ですって、あなた」



不意にこちらに向いた顔に、ドクッ、と心臓が嫌な音をたてた。