カラコンを外して顔をあげたとき、鏡に映っていたのは薄い灰色の瞳をした私。



……目のことぐらいなら、バレても私と白猫が繋がる要因にはならないと思う。


実際に蒼介にはバレてるわけだしね。


それでも隠しつづけているのは、多分、万一の可能性があるから。



「私は、失うのが、怖いんだよね……」



気づいたら、双翼が大切な場所になっていた。


温かい場所、みんながいて、私がいてもいい居場所。



無くしたくない。



そして、もう一つ。


私が隠しつづけている理由。




「私は、みんなを……亡くしたくない」




呟いた声は、自分でも分かるぐらい弱々しかった。


もし、私が…私が"白猫"だとバレたら、居場所がバレたら……


太陽たちが、私のそばにいることがバレたら……



血に染まったあの光景が頭の中をよぎって、私の背中に冷たいものが流れた。





いろいろな嘘をついている私。


たくさんの、罪を重ねてきた私。



鏡の中の私は、笑えるぐらい情けない顔をしていた。




今の私を見たら、二人はどう思うのかな。


今でも変わらず、大切な娘だって……言ってくれるのかな。








私の過去を知ったとき、太陽は、どう思うのかな……


溢れ出す思いに飲み込まれないように、私は強く目を瞑った。