「春花さん、素敵な人だね」
「そうか?」
「うん、そうだよ」
きっと、お父さんもいい人なんだろうなぁ……
そういえば。
「太陽のお父さんは?」
春花さんには挨拶したけど、お父さんにもした方がいいよね。
というかそれが常識だよね。一応、短期間でもお世話になるわけだし。
「親父は、今は仕事の関係でいない。もうすぐで帰ってくると思う」
「そっか」
じゃあ、それまではお世話になっておこうかな。
仕事って何をしてるんだろう、と少し気になったけど、まぁ人の事情をあれこれ詮索するのは良くない。
とりあえず他愛もない会話をしながら、キッチンからこの部屋の道順は覚えた。
よし、これで次に迷う心配はない。
またもや大丈夫だと言う私の意見は聞いてもらえず、太陽は私を抱いてベットに降ろした。
ほんと、心配症なんだから……嫌ではないけど。
「疲れたんだろう。もう寝ろ」
「うん……あ」
「どうした?」
「な、なんでもないよ。私は大丈夫だから、太陽はもう行って?」
「でも、」
「見られてると落ち着かないのっ」
心配そうな太陽をなんとか部屋から追い出す。
なんか、良心が痛むけど……ごめん、太陽。
でもカラコンしたまま寝ると目が痛いから、できるだけ外しておきたいんだよね。
カラコンを外すために洗面台に向かう。
ここ、部屋にシャワー室とかトイレとかあって、もはやホテルだ。豪華だし。
最初に見たときはびっくりしたなぁ、と一人苦笑をもらす。