「太陽、満月ちゃん大切にしなさいよ!?」
「言われなくても」
「いつかウチの娘としてちゃんとゲットしておくのよ?」
「あぁ」
春花さん、私はペットですか。
ぎゅうっと抱きしめられている間、私は彼女を思い出していた。
彼女も、昔はこんなふうに私を抱きしめてくれたっけ……
いつもほんのりと温かくて。
よく紅茶の香りがしてた。
子供のときはなんの香りか分からなかったけど、すごく落ち着いた。
いつも優しく包んでくれた、大好きだった腕の中。
今は、もう……
「満月ちゃん?」
はっとして顔をあげると、春花さんが不思議そうな顔で私を見ていた。
「すみません、ちょっと疲れたみたいで」
咄嗟に笑顔を作ると春花さんは心配そうに目を曇らせた。
「ごめんなさい。満月ちゃんは病み上がりなのに、少し無理させちゃったわね」
「そんなことは…」
「いいのよ、素直に言ってくれて」
春花さんは綺麗に微笑んでそっと私の頬を撫でた。
「太陽、満月ちゃんを部屋に寝かせておいてあげてね」
「分かってる」
くるん、と車椅子が方向をかえた。
太陽、いつの間に……
「あとでリンゴでも持って行くわね〜」
「あ、ありがとうございますっ」
後ろから聞こえる声にお礼を言って、私は太陽と部屋に向かった。


