立ち上がろうとしたけど、それは大ちゃんに止められて私は再びベッドの上に座る。


びっくりしたじゃないか。


むむ、という視線を大ちゃんに送る。



「絶対安静、約束だろ?」



確かに約束したけど。



「……ただ立ち上がろうとしただけなのに」


「せめてあと三日。移動するならこれ使え」



そう言って、大ちゃんは車椅子を持ってきた。


………これは大袈裟すぎやしないか。



「満月は血が足りてねぇんだよ。出血多量でどうこうなったの忘れたのか」


「いや、私その時意識ないし」



かな兄から聞いてはいたけどね。



「とにかく、しばらくはこれ使え。分かったな?」


「えー……」


「問答無用。京野、頼んだぞ」


「はい」



くそ、大ちゃんめ……太陽を味方につけやがった。


まぁ、それで二人が安心するならいいか。



「じゃあ、お願いします」


「あぁ」



太陽に押してもらい、車椅子に乗って病室の外に出る。


そこにはみんなが立っていて、車椅子の私を見て少し驚いた顔をしていた。


ほら、やっぱり大袈裟じゃないか、と大ちゃんに心の中で文句を言う。



……もう遅いけど。