すぅ、と深呼吸をして音兄は話始めた。



「満月が刺されたあと、救急車でここに運ばれたんだ。運がよかったよ、ここに運ばれるなんて」


「?どういうこと」


「ここ、俺の実家」



ニヤリと大ちゃんが笑みを見せる。



「あ、なるほど」



そういえば大ちゃんの家って代々医者やってるんだっけ。



「だから僕と奏にもすぐに連絡がいったんだよ」


「そうだったんだ……」


「満月が刺されたって大樹から連絡きたとき、一瞬頭ん中真っ白になったぞ。しかも出血多量でやばいって言われたし……」



ぺち、と軽くおでこを叩かれる。



「あう…ごめんなさい」



おずおずと見上げると困ったような顔をして、かな兄は私を見ていた。



「ま、満月らしいけどな」



ぽんぽんと頭を撫でられる。



「本当に、満月は優しいね。でも次からは気を付けてね。満月が寝てる間こっちは気が気じゃなかったんだから……」



音兄も苦笑しながら私の頭を撫でた。



「あ、そうだった。私どれぐらい寝てたの?」


「丸々三日」


「うわ、三日も寝てたんだ……」



声もがらがらになるわけだ。