「怪我ないのか!?」


「大丈夫?」



太陽と同じようなこと聞くなぁ。



「うん。何ともないよ」



そう言うと、あからさまにほっとした顔を見せる。


莉都なんかもう泣きそうだ。



「あ、太陽は……」



ホールに目を向けると太陽がみんなに指示していた。


こういうのいつも涼がやってるから新鮮な感じがする。


やっぱり総長なんだなと思い自然と笑みがこぼれた。



私の視線に気づいたのか、太陽と目があうとふわりと安心させるように笑みを浮かべる。


私も笑みを返してそのまま駆け寄ろうとしたとき、キラリと鈍い光が太陽の後ろで輝いた。


さっきの金髪が、ナイフを持って不気味に笑っている。




だめ………っ!!




とっさに私はみんなを押し退けて、太陽めがけて走りだしていた。



お願い…間に合って……!!


たくさんの人を傷つけてきた私が言うのもおかしいけれど、みんな私のかけがえのない人なの。


都合がいいって自分でも分かってる。


でも、もう、私の目の前で、私のせいで、傷つく人を見たくないの……!!



「総長!」



誰かの焦った声が聞こえる。


多分ナイフの存在に気づいた誰かが声を出したんだろう。



「もう……おせぇよっ!!」


「…!!!」



太陽がはっとしたような顔で鉄パイプ野郎の方に振り向く。


まるでスローモーションのようにそのままナイフが太陽のお腹に刺さろうとしたとき、間一髪で私は思いっきり太陽を突き飛ばした。