太陽はじっとかき氷を見る。


食べたいのかな。それならそう言えばいいのに。



「はい」



一口すくって太陽の口に持っていく。



「は?」


「あれ、食べたいんじゃないの?」



私、間違えた?


そう思ったけど太陽は差し出されたかき氷をぱく、と食べた。



「……あま」


「かき氷だからね」



クスクスと笑うと太陽は拗ねたようにぷい、と顔を背けた。



「あ、満月ちゃんいたんだ」



パラソルの影から涼が顔を出す。



「さっき太陽が心配してたよ。満月が遅いって」


「え、そうなの?」



太陽の方を見るけど顔は私と逆方向に向いたまま。


なら勝手に解釈しておこう。



「太陽、ごめんなさい。心配してくれてありがとう」


「……はぁ」



お礼を言ったのにため息つかれるって……何気に傷つくな。



「別に、お前が無事ならいいんだよ。でも、次からは誰かと一緒に行け」


「うん。分かった」



そう言うと太陽は穏やかな笑みを浮かべて私の頭を撫でた。


不思議と心の中に温かなものが広がる。


やっぱりこの手、安心する。



「いちゃついてるとこ悪いけど太陽、そろそろ時間だよ」


「あぁ、そうだな」



海を見るとさっきまでは青く輝いていたのが、今は夕日で赤く見える。



「みんな、そろそろ片付け始めるよ!」



周りにいた双翼の子たちに涼が指示を出す。