かける相手は……



『もしもし』


「もしもし。ごめんね涼、こんなに夜遅く」


『ふふ、いいよ。それで、今日はどうしたの?満月ちゃん』



分かってる癖に……



「今日のあれ、なんだったの?」



少し怒ったようにぶっきらぼうに言ってみる。


実際はそんなに怒ってないけど。



『あれって?なんのことかな?』



うわ……爽やかにしらばっくれた。


電話の向こうでニコニコと笑っている涼の顔が簡単に想像できる。



「……ふーん。ま、いいけどね」



最初から認めるなんて思ってなかったし。



『そう?あ、そうだ。明日の迎えは僕が行くから』


「うん。分かった」



いつも太陽なのに……用事でもあるのかな。



「じゃあ、また明日」


『うん。おやすみ』



プツリ、と切れた電話の向こうで涼が楽しそうに笑っていたなんて、私には分からなかった。



「つっかれたー」



ケータイと一緒にベッドに倒れこむ。



「明日は、倉庫か……」



寝坊しないといいけど。


それから髪の毛を乾かすのを忘れて私はそのまま寝てしまった。