五分ぐらい待っているとバイクが目の前に停まった。
「お待たせ」
ヘルメット越しに音兄が少し笑った。
「うわ、音兄のバイク懐かしいなぁ」
「うん。乗るのも久しぶり」
「あ。でもお酒、」
「大丈夫。僕は飲んでないから」
確かにあの空間にいたら分からなかったけど、音兄からはお酒の臭いがしない。
さすが音兄。ちゃんと私のこと考えてたんだなぁ。
かな兄とは大違いだ。
「じゃ、よろしくお願いします」
「了解しました。お姫様」
音兄から受け取った私のヘルメットをかぶって、私は音兄の後ろに座った。
久しぶりに乗った音兄のバイクは昔と変わらず安心して乗れる。
一度かな兄の後ろにも載せてもらったけど、物凄く怖かった。
それからはバイクに乗るときは必ずかな兄以外の人の後ろに乗るようにしている。
あの恐怖は一度だけで十分だ。


