「何?」


「いつでも、ここ来いよ」


「待ってるからね」



かな兄はぶっきらぼうに。


音兄はふわりと笑って。



「……ありがと。行ってきます」



私も、2人に大丈夫だというように笑って、理事長室を後にした。













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「心配?」



満月が出て行ってから、音が俺にからかうように言った。



「そりゃあ、な。……音は?」


「奏が思ってるより5倍は心配してる」



鼻歌でも歌いそうに軽く言う音は、そんな素振りを微塵も見せない。



「……ほんとかよ?」


「疑うの?酷いなぁ。本当だよ」


「…………」



それでもじっと音を見ていると、観念したようにその笑顔を消した。