「太陽。満月ちゃんも海行きたがってるよ?」
涼…伝えてもあまり変わらないと思うんだけど。
「……本当か?」
「う、うん。私もみんなとの思い出欲しいし……」
「……分かった」
…………へ?
「よし、決まりやなっ!」
「やったぁ、海だぁー!!」
さっそくハイテンションな二人。
涼は何故か肩を震わして笑っている。
え、というか決まったのこれ?
「ほ、本当にいいの?」
「何が?」
「だって、太陽行きたくないんでしょ?」
「満月は行きたいんだろ?」
そりゃ、行きたいけど……
言葉に詰まる私の頭をぽんぽんと撫でて太陽は優しく笑った。
「満月が行きたいと思うならいいんだよ」
「……ありがとう」
「あぁ」
あんまり優しい顔をしているから、もう何も言う気持ちにならなかった。
太陽、優しいなぁ…
ほんわりと胸の辺りが温かくなって、私は自然と頬が弛んだ。
それからみんなで話し合って海に行くのは三日後になった。
双翼のみんなで行こう、ということになって、莉都たちが下にいる子たちに海のことを伝えたらこの部屋にまで歓声が聞こえた。
……ここって結構離れているはずなんだけど。