「どうした?」
「え?」
「いや、なんか今日は嬉しそうだな」
「……そう、かな」
自分では意識してなかったんだけど。
「着きました」
「あぁ」
いつもよりも時間が速く感じた。
「じゃあ、またあとで」
「あぁ」
スタスタと歩いて行く太陽の周りを学校の女の子たちが群がっていく。
……いつもの光景だ。
そして、いつものように女の子たちに向けられるあまり気分の良いものではない視線。
……いつもの光景だ。
ため息が出そうになるのをどうにか堪えて、私は教室に向かった。
そういえば、いつも思うけど太陽って学校着いてから直ぐに屋上行くよね。
鞄とかどうしてるんだろう。
教室に行くまでも何人かの人に挨拶をされる。
もちろん双翼の男の子たちね。
簡単に挨拶を返しながら、私は鞄を置いて屋上に向かった。
心なしか屋上に向かう足が軽いように感じる。
ガチャ、と扉を開けると太陽と涼、朱雀の三人がいた。
「おはよう、満月ちゃん」
「おぉ。今日なんかいつもよりはよない?」
「おはよう、涼。ついでに朱雀も」
「ひどっ。ワシはついでかいな」
しくしくと泣く真似をする朱雀はスルーして、私は定位置となったソファに座る。


