振り向くと疲れたような顔をした蒼介がいた。
緊張の糸が切れたかのように壁にもたれかかる。
「あ、これ飲む?」
コンビニで買ったお茶を袋から出して蒼介に渡す。
「はい」
「……あぁ」
さっきからあぁ、しか言わないなぁ。
……まぁいいけどさ。
私も袋からもう一本お茶を出し、蒼介とは少し離れた場所の壁に寄りかかった。
「…お前は何も聞かないんだな」
しばらく時間が経ち、蒼介がぽつりと言った。
「もしかして聞いてほしかった?」
「いや、」
そう言ってまた黙る蒼介。
食べ物が心配だから帰りたいけど、今は蒼介を一人にはしておきたくないし。
どうしよう……
「なぁ……今から俺、一人言を洩らすけど、聞いてくれるか…?」
「…どうぞ?」
私がそう言うと蒼介は一度深く息を吐いた。
「俺の母さん……産みの母親の方な。俺が小学生のとき事故で死んだんだ。
母さんがいたときは、俺たち家族は普通の家族だった。普通に……幸せだったんだ。
でも…母さんが死んでから……そこから…俺の家族は壊れていった。あの女のせいで……っ」
そこまで言って一度言葉を区切り、お茶を飲む。


