「さすがに、ちょっと重いな……」
飲み物はマンションの下にある自動販売機でよかったかもしれない。
少し後悔しながらも家に続く道を歩く。
もうすぐで家につく、というところで、すぐ傍の細い路地から男と女の怒鳴り声が聞こえた。
なんだろう。ベタに恋人たちの喧嘩かな。
……ちょっと覗くぐらいならばれないよね。
野次馬根性と少し好奇心が湧いて路地に近づく。
「ふっざけんな!!」
「っ!!」
びっ、びっくりした……!!
心臓が……
まぁ、いきなり叫ばれたら誰だって驚くだろうけど。
まだ心臓ばくばくしてる。
……もう、やめよ。ばれたらややこしいし。
そっと路地から離れる。
それでも何となく気になって振り向くと、さっきまでいなかった男と女が取っ組み合いをしていた。
多分路地にいた人たちだろう。
本当に恋人たちの喧嘩だったんだ。
んー……取っ組み合いかと思ったけど、よく見ると男の腕を女が無理矢理引っ張っている……ように見える。
もてる男は辛いわ…と思いながら男の顔を見て私は絶句した。
「蒼…介……?」
私の呟いた声が聞こえたのか、蒼介の顔がこちらに向く。
「お前……」
驚きの表情になっていく様子が私のところからでもはっきりと見えた。
「蒼介ぇ?」
「っ、離せよ!!」
「きゃっ」
蒼介は乱暴に腕を振り払う。
でもその手が少し震えているのを私は見た。


