……正直に言います。


行きたくないです。


行きたくないです。


大事なことなので二回言いました。


莉都もあの中に行けば……死ぬと思う。


仕方ない……目立つのは嫌だけど莉都のためだ。



「太陽ー!!」



深呼吸をしてからできるだけ大きな声で太陽を呼ぶ。


聞こえるかどうかは分からなかったけど、どうやら聞こえたようだ。


気づいてくれてよかった……



「満月」



太陽が一歩進むごとに人が避けて道ができる。


……漫画みたい。



「満月、遅かったな。……莉都はどうしたんだ?」


「ちょっと、ね」



誰だって疑問に思うよね。


こんなフラフラで顔の青い莉都を見れば。



「行くぞ」


「うん」



太陽が莉都を支えて車に乗り込む。


その後ろからついていった私に向けられる、嫉妬や羨望などの黒い感情の視線。



ため息が出そう。


倉庫には涼と朱雀がいて、二人も莉都の様子にびっくりしていた。


朱雀曰く、莉都っていつも元気だからこんなに弱っているのは珍しい、ということらしい。



莉都をベッドに寝かせたあと、私も疲れていたので今日は早めに家に帰ることにした。


というかこの日初めて知ったけど、倉庫には幹部にだけ特別に個室があるらしい。



……どれだけ広い倉庫なんだ。


さすが全国No.1の暴走族。