「知ってるも何も、確か全国No.1の暴走族だったよね」


「そう、それ」



"双翼"


確か結成したのは7、8年ぐらい前だっけ。


初代の総長、副総長、また幹部の圧倒的な強さで一気に全国No.1にまで登りつめ、今もその地位を守ってる。


ある意味伝説の暴走族。



「それで?」


「まぁ、言いたいことはこんなところかな」



音兄はかけているメガネを直しながらにこっ、と笑う。



「満月なら大丈夫だと思うけど……念のため、ね」


「そーそ」



あ、かな兄が復活した。



「満月の強さは知ってるけど、この学校の奴等全員を敵にして逃げるのは難しいだろ。つーわけで気をつけろよ」



昔から、少し(?)心配性なかな兄と音兄。


ちょっと遠回りな心配の仕方……変わらないなぁ。


つい頬が緩む。



「あれ、奏(カナデ)いじけるのやめたの?」


「うるせー」


「さっきの奏よりはうるさくないよ」


「うるせぇーっ!!」


(奏=かな兄)