あんなに細い体のどこにあれだけの量の食べ物が入るんだろう。
パンを食べている間、莉都を見ていてしみじみ思った。
朱雀も結構食べるなぁ。
「もう無理……」
パンを半分ぐらい食べたところでお腹がいっぱいになる。
……ちょっと苦しい。
「みぃちゃん…ほんとに全然食べないねぇ」
「ほんまやわ……」
「もういらない。莉都、食べる?」
食べさしのパンを差し出すと、横から手が出てきてパンを奪った。
「俺が食う」
「そう?ならお願いします」
太陽、まだお腹すいてたのかな。
食べ盛りなんだね。
残っていたコーヒーをちびちび飲みながら、私はあまり深くは考えなかった。
「……みんな、どうしたの?」
「な、なんでもないよ……」
「そ、そうやで……ブッ」
「満月ちゃんは、気にしないで……くっ」
「……うるせぇ」
太陽は少し顔が不機嫌そうながらも普通に食べてるだけなのに。
それを見て莉都と朱雀…そして涼までもが肩を震わせて笑っていた。
涼のこんな姿って珍しいんじゃないかな。
少ししか同じ時間を過ごしていないけど涼っていつも冷静なイメージあるからなぁ。
しばらくみんなは笑っていて、それを太陽が怒っているのを私はゼリーを食べながら傍観していた。
今私のことをお腹いっぱいって言ってたじゃん、と思った人。
女の子には別腹というものがある。つまりゼリーは別腹なのだよ。


