確かあの子って……
「何してるの?」
「うわっ、驚かせんなよ、って姫!?」
目を丸くしてのけぞるオレンジくん。
話しかけただけなのに物凄く驚かれた。私はお化けか。
「あ、あの、昼飯を……」
「こんなにいっぱい?」
オレンジくんの持っている袋の中身はこれでもか、というほどにパンやら飲み物が詰めてある。
「いや、俺のじゃなくて…涼さんに頼まれて」
「涼に?じゃあもしかしてこれって太陽とかのお昼ごはん?」
「は、はい……」
みんなこんなに食べるのか。
というかオレンジくんお使い中だったのか。なんかかわいいな。
「これから届けに行くんだ?」
「はい」
「私も今から屋上行くの。一緒に行こっか」
ニコ、と笑みを浮かべて言うと最初は戸惑っていたが最終的に一緒に行くことになった。
「名前まだ聞いてないよね?」
階段を一緒に上りながらそういえば、と私は話し出す。
「私は満月、って紹介しなくても分かるか」
あんなに大勢の前で言ったんだし。
「俺は岬です。岬 勇(ミサキ ユウ)。勇でいいですよ」
「うん。よろしくね、勇」
階段を上っている間、私は勇に太陽たちのことを聞いていた。
勇って本当に太陽たちのこと尊敬してるんだなぁ。
「ねぇ、勇」
「?なんすか、姫」
「その姫って言うのやめない?」
話をしている間ずっと思っていたことだ。
自分が姫って呼ばれるのに慣れていないからか違和感を感じる。


